Q なぜ賛美するようになったのですか?
A こんな理由があったからです。
① 聖書の中に賛美歌があるからです。
聖書の中には、賛美歌があります。最も有名なところは旧約聖書の中の「詩編」です。これは 150 曲からなる賛美歌集です。「詩編」にはどのような旋律で、どのように歌うのか指示されているものもあるほどです。新約聖書にも「マリアの賛歌」「ザカリアの預言」「キリスト賛歌」など、たくさんの賛美歌があります。聖書は言葉の書物であると同時に賛美歌集でもあったのです。
② 聖書を覚えるために歌ってきました。
聖書はもともと今のように印刷されたものではありませんでした。15 世紀までは、手書きで写すか、覚えていったのです。特に家庭内では、口伝えで覚えていったのです。ところが聖書は膨大な書物です。なかなか覚えられません。そこで、聖書の言葉に「節をつけて」覚えたのです。つまり、聖書を「歌って」覚えていったのです。
③ 神さまへの応答として歌ってきました。
聖書の言葉は、神さまからのプレゼントです。たくさんの愛や励まし、慰めといったメッセージが、聖書を読むことによって神さまから与えられます。その神さまから与えられたさまざまなメッセージへの応答として、礼拝の中で人々は歌ってきました。それらは「応答唱」と呼ばれてい
て、「キリエ・エレイソン(主よ、あわれんでください)」
「グローリア(神に栄光あれ)」「ハレルヤ(主をほめたたえよ)」「アーメン(まことにそうです)」など短い言葉で歌ってきました。
④ 歌うことによって、御言葉を宣べ伝えてきたからです。
16 世紀に起こった宗教改革は、「自分の言葉で聖書を読み、自分の言葉で賛美を歌う」運動でした。これによって、ただ参加するだけの礼拝から、積極的に参与する礼拝へと変わっていきました。賛美とは不思議なもので声に出さないで歌うと「自分へのメッセージ」となりますが、声に出して歌うと「他者へのメッセージ」となるのです。「牧師は言葉によって説教し、会衆は賛美によって説教する」とルターが記しているほどです。
このように、聖書の中に賛美があり、覚えるために節をつけ、応答として賛美を歌い、歌うことによって御言葉を宣べ伝えてきました。まさに、聖書と共に賛美があり、賛美と共にキリスト教はその歴史を歩んできました。ですから、キリスト教は歌う宗教であると言えます。
「主を賛美するために民は創造された。」(詩編 102 編 19 節)」